SDVに今こそ取り組むべき理由

SDVに今こそ取り組むべき理由

 

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SDVという技術革新は、もはや将来の話ではありません。すでに現実のものとなっており、自動車メーカーやサプライヤーにとっては変化が訪れるかどうかではなく、どれだけ早く対応できるかが最大の課題となっています。

この変革により、自動車業界は長年続いてきたハードウェア主導の開発戦略の見直しを迫られています。これまでは、新しい車種が登場するたびにソフトウェアも1から作り直す必要がありました。以前のように、より機械中心だった時代ではそれでも問題ありませんでしたが、現在は、デジタル機能のアップデートや機能追加を求めるユーザーの声に応えるには、よりアジャイルなアプローチが求められています。

 

従来の考え方からの脱却

SDVの開発は、ハードウェアとソフトウェアの結びつきの分離にかかっています。私たちは、この分離によって柔軟性を高め、開発プロセスを効率化し、イノベーションを加速させることを目指しています。ソフトウェアがハードウェアに縛られないことで、コードやコンポーネントの再利用が可能となり、時間とコストの削減につながります。また、既存の価値あるツールを、将来に対応したアーキテクチャに組み込むことで、新旧の技術の橋渡ししをすることができます。

 

仮想化が開発スピードを加速する

SDV開発を加速させる重要な手段のひとつが仮想開発です。仮想ECU作成ツールやデジタルHPC(高性能コンピュータ)などの仮想化ツールにより、テストやソフトウェア検証のスピードが飛躍的に向上します。あるサプライヤーは、エレクトロビットのツールを活用することで、開発コストを最大40%削減し、製品投入までの期間を30%以上短縮しました。

仮想化の効果はインフォテインメント分野にも広がっています。例えば、エレクトロビットのAndroid向けの仮想インフォテインメント開発は、クラウドと車載コクピットでをつなぐデジタルツイン環境を提供します。これにより、物理的なハードウェアに依存しない開発が可能となるため、ハードウェアが確定する前からソフトウェア開発が始められます。この手法は、2026年生産開始予定のソニー・ホンダモビリティのAFEELA 1にも採用されました。エレクトロビットは、PlayStationようなソニーらしい体験を車内に取り込める、高度なソフトウェアアーキテクチャを開発し、ブランドの個性をリアルに表現できる車載システムを実現しました。

 

安全性と柔軟性の両立

SDVのイノベーションが進む一方で、安全性を犠牲にすることは許されません。EB corbos Linux for Safety Applicationsは、オープンソースの柔軟性と機能安全を両立し、ひとつのハードウェア上で複数の仮想マシンを実行できるしくみです。具体的には、Linuxをハイパーバイザー上で動かし、その上に安全性監視モニターを配置しています。この構成により、安全機能に影響を与えることなく、現場でのシステムアップデートが可能になります。結果として、ISO 26262 ASIL B や IEC 61508 SIL 2 といった安全規格への対応も実現できます。

また、AUTOSARとAndroidといった異なるエコシステム間の通信を可能にするミドルウェアであるEB corbos Linkも同様に、エレクトロビットのポートフォリオに含まれる重要なツールです。

従来、AUTOSARとAndroid間の通信は専用開発が必要でしたが、いまではすぐに使えるソリューションとして、相互運用性の向上と将来の拡張に対応できます。ある自動車メーカーでは、Androidアプリの長期アップデート性を実現する目的で、すでにEB corbos Linkを導入しています。これは、SDVの現実的な価値の一例といえます。

 

SDV Level 3へのステップ

ゾーン型やセントラル型アーキテクチャへの移行も、SDVをスケーラブルに進化させるのに不可欠です。最近は、車載HPCに高い演算能力を持たせる傾向が顕著になっています。エレクトロビットは、このニーズに応えるため、車内ネットワークを最適化し、最新のE/Eアーキテクチャに対応するEB zoneoを提供しています。さらに、EB tresos Safety Fail-operationalは、部品の故障が発生してもシステム全体の安定性を確保することで、レベル3の自動運転機能を安全に実装するための基盤となります。

また、リアルタイム処理向けのソフトウェアEB tresosも、SDV時代に対応する形で進化しています。従来の開発プロセスをすべて作り直す必要はなく、既存のワークフローに無理なく統合可能です。私たちの目的はすべてを1から作り直すのではなく、本当に必要な部分だけをモダンに刷新していきます。

 

連携がSDVの未来を築く

SDVがさらに進化していく中、その成功には業界全体での連携とオープンソースへの貢献が不可欠です。私たちの取り組みの多くは、お客様や技術パートナー、サプライヤーとの協力のもと進めています。例えば、EclipseやJaspar、Automotive Grade Linuxなどの団体にも参加し、よりオープンでモジュール型のソフトウェアエコシステムの構築を推進しています。

このような業界全体のシフトには時間がかかりますし、すべての自動車メーカーが同じペースで進むわけではありません。それでも、変革へのプレッシャーは高まり続けています。もはやソフトウェアファーストへの移行は避けて通れない道であり、競争力を維持するには不可欠なのです。

SDVはもはや将来いつか実現するものでも、非現実的なコンセプトでもありません。イノベーションやユーザーエクスペリエンス、そして長期的価値を実現する新しい基盤となっています。今、行動を起こすことこそが、デジタル機能によって差別化し、将来のアップデートにも対応できるクルマを提供することができるのです。一方で、SDV技術やソフトウェア中心の開発プロセスを取り入れなければ、確実に後れを取ることになります。

エレクトロビットがどのようにSDV開発を加速させているか、詳しくはSDVソリューションのサイトをご覧ください。

著者

Raul Latorre Fortes
SDVビジネスデベロップメントディレクター