エレクトロビットのHead of UX/UI Design、Frank Uhlig との対談:ソフトウェアのサプライヤーが未来の車のユーザー体験を構築

September 1, 2020

従来、車両にはパワーや制御などハードウェアの技術が重視されていましたが、フォーカスはスマートフォンのHMI(ヒューマンマシンインターフェース)の再現へとシフトしています。AI(人工知能)とコネクティビティは、車内をただ運転するための空間ではなく、新しい生活空間へと変えつつあります。携帯電話から車両への「ソフトウェアによる機能定義」のトレンドは、インテリジェントコックピットを牽引しています。

ドイツに本社を置くエレクトロビット(EB)は、車載ソフトウェア業界において、包括的なUX/HMI ソリューションを提供しています。当社は過去30年間に渡って、車載ソフトウェア業界におけるリーダーとして業界を牽引してきました。エレクトロビットのソフトウェアは、1 億台以上の車両に搭載され、10億台以上のデバイスを駆動しています。当社はコックピットの進化にも深く関わってきました。インテリジェントコックピットの将来のトレンドとはどのようなものでしょうか。エレクトロビットはどのような HMI ソリューションを提供して、UX(ユーザー体験)を向上させていくのでしょうか。コックピットの機能性が拡張し続ける中で、ソフトウェアにはどのような要件が求められるのでしょうか。これらの疑問に対して、エレクトロビットのHead of UX/UI Design、Frank Uhligにインタビューを行いました。

 

デジタル体験を強化するスマートコネクティビティ

「自動車はコネクテッドIoT デバイスへの転換の過程にあります。市場にあるほとんどの新車は現在、市場セグメントや価格帯に関わらず、コネクティビティの機能を備えています。以前ならハイエンドの高級車に限られていたような機能も、ローエンドやミッドレンジのモデルにも導入されるようになりました」と、コックピットテクノロジーの開発についてFrank Uhlig は説明します。ユーザーからは、さらにパーソナライズされたコネクテッドカーへのニーズが高まっています。車両で使用されるHMIが、スマートフォン同様いつでも接続している状態で、高機能で使いやすくなることが期待されています。こうしたトレンドの中、将来のインテリジェントコックピットはより接続性が向上してパーソナライズされたものとなり、安全かつ自動化されて、スマートかつ強力な機能を提供するようになるでしょう。そして、ADAS(先進運転支援システム)や、HUD (ヘッドアップディスプレイ)およびHUD向けの最先端のAR テクノロジー、スクリーンの大型化、強化されたHMI など、よりスマートなコネクティビティの技術が車両に搭載されるようになります。コックピット内のコネクティビティとディスプレイの機能性の向上に伴い、インテリジェントコックピット設計においてUXの強化が最重要事項となります。Frank Uhligの見解では、パーソナル音声アシスタントやドライバーの視線の方向の検出、車内における医療アプリケーションなど、将来のAIテクノロジーによってUXはさらに強化されます。特に音声テクノロジーは、次世代コックピットの鍵となります。エレクトロビットは現在、Amazon Alexa と強固なパートナーシップを築き、自然音声の車両への統合に取り組んでいます。Amazon Alexa を搭載することで、ドライバーは自らの自然音声を使用してコックピット機能を起動できるだけではなく、Amazon Web Services(AWS)やサードパーティのデジタルエコシステムにアクセスすることも可能になります。デジタルエコロジーの強化に向けた、コックピット設計のもう1つのトレンドは、Android システムを使用することです。Android のメリットは、大規模なアプリケーションのエコシステムを構築できることです。Android Automotive を車載インフォテインメントシステムに統合することにより、開発者は Android 体験を簡単に車両に統合して、ユーザーに期待通りのパーソナライズされた車内体験を提供することができます。例えば、ドライバーや同乗者は、最先端の革新的な技術を取り入れると同時に、シンプルで直感的なソフトウェアを使用してアプリケーションを簡単にダウンロードしてインストールしたり、音楽ライブラリにアクセスしたりすることを期待しています。エレクトロビットは包括的な製品とサービスを提供して、Android Automotive のIVI(車載インフォテイメントシステム)への統合をサポートします。全般的に、自動車のコックピットは現在、ドライバーにとっての情報源からIVI(車載インフォテインメント)システムへ、そして、さらにコネクテッド機能が充実した統合コックピットへと大きく変化しています。進化したコネクティビティ技術を取り入れることで、よりスムーズで直感的、かつシームレスに統合されたUXを提供することができ、車載コネクティビティはユーザーのデジタル生活の一部となります。

 

将来のトレンドを意識したソフトウェアのイノベーション

コックピット機能の複雑化に伴い、ソフトウェアは常にイノベーションが必要です。特に、5G やAI、自動運転などの新技術は、車内のUXに大きく影響します。例えば、5G によって、データストリーミングサービスやクラウドコンピューティングへのアクセス、リアルタイムの地図、OTA ソフトウェア更新、先進的なインフォテインメントシステムを1つずつ実装することができるようになります。AI システムは、ユーザーの好みを検出して、車両の設定やインフォテインメント機能、アプリケーションをそれらに合わせ、より高いレベルでのパーソナライゼーションを実現することを可能にします。将来の自動運転は、ドライバーによる制御や自動運転への切り替えなど、さまざまな新しいユーザーシナリオに適応する必要があります。Frank Uhligは次のように説明します。「これらのトレンドの変化に従って、インフォテインメントに関するソフトウェアの更新の方法は抜本的に変わるでしょう。より柔軟に、同時により頻繁に機能の更新を行うため、反復の回数を削減する必要があります。また、ソフトウェアの応答性を注意深く監視して、全てのスクリーンタイプで、さまざまな運転シナリオにより柔軟性を持って確実に対応しなければなりません。例えば、ドライバーに注意を喚起したり、注意散漫を防いだり、インフォテインメントサービスを提供しながら同時に安全を確保する場合などです。車両は、タイヤが付いたHPC(高性能コンピュータ)になりつつあります。新しいコネクティビティ機能やADAS、自動運転テクノロジー、AI テクノロジーは、いずれも導入により強力で安定した、柔軟なコンピューティング性能が必要です。特に、自動車のE/E アーキテクチャは分散コンピューティングから集中コンピューティングへと進化を遂げ、自動車メーカーには、強力なマルチコアプロセッサの機能を利用するための新しいソフトウェアが必要です。コックピットの性能に関しては、安全性を考慮することも重要です。これには、情報をセキュアに維持することだけではなく、ソフトウェアの更新を安全かつ確実に完了することが含まれます。また、運転者の意識をソフトウェアや車載カメラ、AI テクノロジーで監視したり、注意散漫を防いで運転の安全性を向上させ、「安全なUX」を実現することも含まれます。

 

革新的なHMI、EB GUIDE

エレクトロビットは、将来のインテリジェントコックピットのトレンドに対応しています。車両のHMI システム開発に関して幅広い経験があり、スマートで安全な次世代のコネクテッドコックピットのUI(ユーザーインターフェース)の開発においてお客様をサポートしてきました。弊社は、製品およびエンジニアリングサービスを提供することで運転体験の向上に貢献しています。EB GUIDE には、15年以上に渡るUX/HMI ソフトウェア開発の経験が集約されていて、世界中で使用されている5000万台を超える車両のHMI システムの開発に役立ってきました。コネクテッドカーのスマート化が進む中、EB GUIDE の機能は進化しています。自動車メーカーや部品サプライヤー、ソフトウェアの開発者が最先端のHMI を車載ヘッドユニットやHUD、インスツルメントクラスタなど任意のデバイスで設計してテスト、導入するまでのプロセスを実現するのに必要な製品を全て備えています。また、EB GUIDE は高度なグラフィックスに加えて、音声やタッチスクリーン、ジェスチャーなどの制御で直感的な2D または3D グラフィカルUIを実現することができる、市場で唯一のHMI 開発プラットフォームです。科学的・技術的な見地から、完全に感覚に対応するHMIを開発することができ、それらの製品はすでに量産されて市場で成功を収めています。CES 2020 で展示された、VWの「ID.」シリーズの自動車およびソニーVISION-S コンセプトカーの高度なHMI 設計は、EB GUIDE のサポートなしには実現ガ不可能だったでしょう。EB GUIDE で開発された HMIは、運転支援システムやドライバー不在の自動運転車では運転の安全性を確実にします。EB GUIDE は AR(拡張現実)の開発ソフトウェアツール。EB GUIDE arware を提供しています。これは、自動車の GPS とセンサーを使用して、車間距離や補助車線逸脱警告など、自動車の周囲の物体の画像を取得して特定し、HUDの視野内に全てリアルタイムに提示して、ドライバーの注意を促します。また、エレクトロビット とMyScript のパートナーシップにより、MyScript の優れたテクノロジーが取り入れられ、手書き機能がEB GUIDE に統合されました。EB GUIDE による付加価値が向上して、運転の安全性とドライーバーおよび同乗者の快適さへの配慮を高めた開発が可能になりました。Frank Uhlig は次のように強調します。「エレクトロビットは最新のインテリジェントコックピットのトレンドの最前線に立っています。弊社は新しいAdaptive AUTOSAR 規格に基づくソフトウェアの実装を、最初に開発し・提供した企業の1社です。この規格により、自動車メーカーや部品サプライヤーは、これらの高度な機能をより効果的に開発することができるようになりました。弊社はすでに、HPCをベースとした車両アーキテクチャ向けに、組み込みソフトウェアおよびコネクテッドソフトウェアの幅広い製品ポートフォリオを提供しています。

 

出典:Automobile & Parts(《汽车与配件》)

 

EB GUIDE の詳細をご紹介しています。開発にご活用下さい。

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